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SomeWordsForSomeone
冬のひだまり、休日の各駅停車。昔飼っていた猫がまるくなっていたみたいに、私もごろんと横になってみたかった。昼下がりのひだまりポジションを猫と中学生の私が奪い合う。猫が陣取ると私が添い寝する形になって、私が先に横になると猫は私の腕の中にもそもそと入ってきた。どのみち同じような態勢なのだけれど、気持ちはまったく違う。猫が勝ち誇った顔をするか、私が優越感たっぷりに肉球をいじるか、その差は大きい。まあ、そんな些細な感情も、ぼんやりしていく意識とともにひだまりに溶けていってしまったのだけれど。



電車のシートはあちこち空いていたけれど、コートがしわくちゃになるからあまり座りたくはない。でも、ひだまりが顔を覗かせるそのスペースに、吸い寄せられるように座った。向かいの席には、派手なお化粧を控えめに進める女の人と、文庫本を手にしたまま船をこいでいる男の子がいた。私も何かしてみようかと思ったけれど、あいにく何もない。目を閉じてひだまりの中に身を沈めてみた。

猫はこたつでまるくなるって歌う歌があったと思う。でも、私の記憶にある猫は、こたつよりもいつも座布団の上でまるくなっていた。特に、昼下がりの窓辺なんかは、お気に入りのポジション。いつの間にか、そこには座布団が敷かれて、猫の特等席になっていた。私は単なる悪戯心で、ささやかな猫の幸せであるお昼寝タイムを邪魔したものだ。最初はまるくなっている猫の背中を撫でたり、耳を触ったりしていたけれど、いつの間にやらその身体をひっくり返したり、くるくる回してみたり。えらく迷惑だったんだろうなあ…もちろん、それ相応の報いは受けたけれど。しばらくして悪戯にも飽きたので、というか猫のリアクションが悪くなってきたので(つまり、無視されるようになったわけだ)、一緒に寝てみることにしたら、それがずっっっと続いた。ひだまりの中、ふわふわした感触と光のぬくもりがとても気持ちよかったことを覚えている。

目を開くと、女の人の目は2倍も3倍も大きくなっていて、男の子の船はまだ穏やかな海面を漂っていた。どれくらいまで大きくなるの? いつまでそこに浮かんでいるの? 意味のないハテナに意味のある答えは返ってきそうもない。代わりに、私は向かいの窓の外に目をやった。窓から見える景色には、ミサイルっぽいものもUFOっぽいものも飛んでいない、のんびりした冬の街。その間をするすると駆け抜ける電車も、のんびりとした音を立てる。私はひだまりの中で猫のことを思い出している。
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by 4n8f | 2007-03-11 19:06

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