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物語みたいなものを書いてみます。
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RememberWhatYouSay
雑誌を読むのにも飽きて外を見下ろしていると、ブーンという音が聞こえた。自分のケータイはバッグに入れてお店に預けてあるし、他の人かもしれないと思ったけれど、けっこう近くから聞えてくる気がした。自分が座っているすぐ横に並べられたクッションに顔を近づけると、音が大きく聞こえた。ここ? クッションの間に手を突っ込むと、案の定ケータイに手が触れた。誰かが忘れていって、友達か誰かのケータイからかけているんだろうなあ。面倒なことになりそうだったし、これから髪を切ってもらって少し色を入れてもらうし…。でも、指が勝手に通話ボタンを押していた。慌てて店の外に出ると、耳に押し当てた。



雨が上がったのを確認してから部屋を出た。すると蝉が勢いよく鳴き始めた。予告なく…って当たり前だけど、いきなり鳴き始めてどんどん大きくなっていって、ぴたっと止んだ。今年になって初めて蝉の声を聞いたかもしれない。まだ梅雨は明けていないみたいだし、梅雨に入ったのも確か遅かったし、夏が来たーって感じもなかったけれど、蝉ってやっぱり夏っぽいね。そんなことを考えながら、駅までの道を歩いた。時々太陽が顔を出すけれど、雲がちょうどいい具合にかかっているから、そんなに暑くはない。たまに吹く風は意外と涼しい。本格的な夏はまだまだだな。

みんな同じ考え? 雨が上がるのを見計らって来たんでしょ。いつも以上に混んでいる店内はちょっと新鮮だ。でも、ふかふかのソファーに座って待つ時間はいつも以上に長くて、正直疲れた。テーブルにあった雑誌をパラパラめくって時間をつぶしたけど、それも飽きる。もともと読みたいものじゃないから。仕方がないから雑誌を元に戻して、ガラス越しに外を眺めることにする。隣の建物は花やら植物やらガーデニング用品を売っているお店で、壁に何かの蔓がびっしりまとわりついている。甲子園みたいな。時折、鉢とかプランターを手にとって眺める人がいる。基本的にはみんな通り過ぎていく。自転車で駆け抜ける男の子、行ったと思ったら戻ってきて、また行く。ぶつかるなよー。歩行者に衝突しそうな、無茶な乗り方をしている。あの年頃の男の子ってそんな感じだよね…年齢関係なし? 家族連れが通り過ぎる。浴衣を着た女の子。これから花火大会でもあるのかな。こころなしか、歩く姿が弾んで見える。初めての浴衣が嬉しいのかもしれない。そういうのってわかる。

女の子の声が聞こえた。店の外に向かう間は何を言っているか分からなくて、何故か「メールを見て」というところだけが聞こえた。人違いじゃないの?って言おうとしたけれど、上手く舌が回らなかったかもしれない。会話らしい会話もないまま、電話は切れた。しばらくケータイを見つめながら、こういうときって、お店に預けておくから取りに来てとかそんな話になって一件落着じゃないの? メール見て、って…。今度はこっちからかけて、取りに来てって言おうかと思ったけど、ちょっと興味が湧いたので、店内のソファーに戻ってメールを待つことにした。でも、いくら待っても何も来ない。電話すら来ない。受信メールの問い合わせをしてみても、送られた様子もない。そうこうしていると、私の順番が来た。アシスタントの人に呼ばれて、鏡の前に向かう。謎のケータイはポケットにしまう。パクったわけじゃないよ、一時的、一時的。それにしても、手の込んだイタズラなのかなぁ、でもそこまでするかなぁ、よく分からない。その話を美容師さんにしようかと思ったけど、ややこしくなりそうだったのでやめた。いつもどおりの会話をしながら、いつの間にかケータイのことは忘れかけて、3時間が経った。終わり。お金を払っていると、ついにケータイが震えた。そのケータイを持ったまま、店を出た。ケータイを開く。
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by 4n8f | 2007-07-22 17:44

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