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物語みたいなものを書いてみます。
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SwimSlowlySingSlowly
余計なことを考えるなと思うほど意味のないことが頭に浮かんでしまう。腕の動きと足の動きに専念したいのだけれど、頭の中がそれを邪魔する。久しぶりに入ったプールの中は思ったよりもひんやりしていて、奇妙な違和感があった。ゆっくりと泳ぎ始めてしばらくすると水に包まれているような安心感が戻ってきて、違和感は消えてしまった。それと入れ替わりに、古い音楽が聞こえてくる。天井にあるスピーカーから流れる歌はとても急いでいるような感じだ。そんなに焦ることはないのにね。



プールから上がり、プールサイドのベンチに座る。タオルで顔を拭きながら、他の人たちが泳ぐ姿を眺める。帽子を被って水中眼鏡をつけているとどの人も同じに見える。人間の顔の個性って、髪と眼なのかな。そのふたつが隠れると、もうその人は誰だか分からなくなる。自意識過剰な有名人は帽子とサングラスで顔を隠すしね。眼は口ほどに物を語る。きれいな眼をした人はとても魅力的だし、眼が泳いでいるとこの人動揺してるんだなあと思っちゃうし。

ずっと休まずに泳ぐ人がいる。ターン、ターン、ひたすらターン。私が休む前から泳ぎ続けているみたいで、限界にでも挑戦しているのかな。背泳ぎを繰り返す女性がいる。私なんかすぐに明後日の方向に行っちゃうだろうけど、その人は真っ直ぐ泳ぎ切る。ずっと天井を見ているのってどんな感じなんだろう。ふざけてシンクロもどきをやっている男の子たち。派手な水しぶきを上げて騒いでいると、監視員に注意された。そういえば一時期流行ったね、男子のシンクロ。

プールから駅に戻る途中にある公園は休日を楽しむ家族でいっぱいだ。日差しもそれほど強くないので、帽子を取ってみる。曇っていても紫外線って減るわけじゃないんだけど、まあ少しくらいなら。風が涼しくて、気持ちいい。自動販売機でスポーツドリンクを買って、近くのベンチに座る。手にした缶を飲み干して一息つくと、自分が座っている隣に蝉が転がっているのが見えた。ああもう夏が終わるんだ。生き残っている蝉がどこかで鳴いている。ここに転がっている蝉のぶんまで、必死に鳴いている。
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by 4n8f | 2007-09-02 15:58

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