物語みたいなものを書いてみます。 |
コーヒーはミルクと氷を入れちゃえば、味なんて分からなくなる。もともとそんなに分かっているつもりもないけれど、アイスコーヒーを飲むときはただただ流し込んでいるだけ。みんながビールを飲むのと同じかもしれない。甘いと流れていかないから、甘くないコーヒーは流し込むにはちょうどいい。その感覚が好きなのか、単にのどが渇いているからなのか、まあその両方だと思うけども、暑いときにはアイスコーヒーを毎日飲む。夏というにはまだ早いけど、夏のような暑さが続いているから、今日も片手に持って歩いている。氷がじゃらじゃら鳴る。プラスチックのカップなので「からから」じゃないのがちょっと虚しい。グラスの中の氷が立てるからからっていう音はなんだか風鈴みたいで気持ちいい。金属のコップに入ったアイスコーヒーを飲んだときに聴いた氷の音は、ガラスともプラスチックとも違って、不思議な感じがした。かんかんとかこんこんとか、鐘を鳴らしているような感じだったかな。ガラスだと、風が吹き抜けていくような気がするんだけど、金属だと重くてそこに残るようなイメージ。プラスチックなら、ケータイのストラップみたいで、意味なく集まっているものが意味なく立てる音。ほとんど雑音。初めて歩く街でも、どこにでもあるカフェでコーヒーを買って、それを飲みながら歩く。プラスチックのカップに入った氷の雑音もほかの音に紛れて聞こえなくなる。ちょうどいいね。もともとそんなに気になるわけでもないけど、店の中で飲んでいるとついカップを振るから、氷の音が聞こえる。それが好きじゃないから、なるべくテイクアウトで飲みたい。どうでもいいこだわりだって分かっているんだけど。誰かと一緒にテーブルについて飲まなきゃいけないときは、たぶん微妙な顔をしてるんだろうなあ。初めて来た街で、そんなことを考えなくてもいいのに。帽子をかぶり直す。手にしたコーヒーを一気に飲んでしまい、ゴミ箱に捨てる。さあこれでオーケー。ああでもまた後で飲みたくなるかも。また余計なことを考えちゃうかも。考えるな考えるな、飛んでけ飛んでけ、どこかに消えてしまえ。
by 4n8f
| 2008-05-10 19:09
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