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物語みたいなものを書いてみます。
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DanceWithFourClocks
楽しいよ、とっっても。そう言ったときの友達の笑顔が素敵だった。半年も前のことらしいけど、どうやらバレエを始めたみたい。知らなかったー。金曜日に電話してもつながらなかったのは、そういうことだったのね。言ってくれればよかったのにな。でもまあ、なんだか相当のめりこんでいるみたいで、そんな状態のときにわざわざ報告することもないよね。念願かなった、とも言っているし。子供のころにできなかったことをやるんだ、って言っていたことがあるけど、このことだったのか。久しぶりに会って話す彼女の目は、びっくりするくらいキラキラしている。
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知らない駅で電車を降りて、知らない道を歩く。プリントアウトした地図を片手にうろうろ、うろうろ。地図を逆さにしたり、横にしたり。ああ分かりづらい。傍から見たら、きっと怪しいんだろうなあ。でも仕方ない。地図を見て歩くのが苦手なんだから。大目に見てよ、まったく。知らない道をなんとなく歩いてなんとなく見つけた店に入るのはなんでもないのに、目的地があると途端にわけわかんなくなる。最短ルートとかってもう意味わかんない。

結局持ってきた地図よりもあちこちに立っている看板を頼りに進んだら、着いた。自分の方向感覚のひどさに改めて呆れたけれども、すぐにのどが渇いたことの方が気になって、自動販売機でジュースを買った。目についたベンチに座ってひとくち。と思いきや、飲むペースは止まらなくなって、すぐにからっぽになった。ふーっと一息つき、周りをぐるりと見渡す。大きな建物がいくつも間隔を空けて建っている。余裕のある感じ。ところ狭しなんてことはなく、ゆったりしている。広いなー。

本を選んでいるふりをしながら、ゆっくり歩いてみる。テレビで見たこの図書館が、どうしても気になって、こうして来てしまった。あまりにも遠かったらあきらめたと思うけど、意外と近かったので行こうと決めた。実際に来てみるとそんなに特別なものじゃないんだけど、ここにいるっていう事実に、なんだかわくわくする。夢にまで見たってものでもないのに。テレビに映る図書館を見たとき、そこに自分がいる姿を想像した。その中に実際に飛び込んだ、って考えたらファンタジーみたいで、不思議な感じがする。ここは私の想像の中で、一歩外に出ればテレビの前に座っている私に戻るのかな。うん、そうだったら、帰り道で迷うことはないんだ。一度歩いた道でも迷うときは迷う。

腕時計を見て時間を確認する。まだまだ時間はたっぷりある。なんとかマウスもいないし、派手な乗り物もないけれど、そんなものはもともと必要ない。誰も共感してくれないけど、こういう時間の使い方が私は好きだ。時間を使っているっていうのもちょっと違うけど、流されているっていうか、身を任せているっていうか、流れるプールでぷかぷか浮いている感じかな。そういう時間が、とても心地いい。くるくる、くるくる、円を描いているみたいだ。

家族連れを駅で見かけた。親戚が遊びに来ていて、それを見送りにホームまで来たみたい。親の方は親戚に何かを話して、お土産らしきものを渡している。一緒にいた女の子はなんだか落ち着かない様子だったけど、いきなり後ろに足を上げた。と思ったら今度はつま先を立てている。きっとあの子はバレエをやっているんだ。いつでもどこでも練習しているんだろうな、こんな感じで。母親にたしなめられて不機嫌そうな顔をしたけど、それでもこっそり小さくステップを刻む姿はとても楽しそう。なんだか、キラキラしている。
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by 4n8f | 2008-07-21 09:27

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