mtroom
物語みたいなものを書いてみます。
ブログトップ
JustAroundTheCorner
やっとの思いで看板を発見した。あたりはすっかり暗くなっていて、それがちょうどいいと言えばちょうどいいかもしれない。看板の向こうにはマンションのエントランスのようなスペースがあって、下に向かう階段がある。蛍光灯じゃなくて電球が斜めに光を投げかけている。オレンジの光が雰囲気を出している。おそるおそる階段を降りる。今になって緊張してきた。見つけたはいいものの、何をしゃべっていいか分からないことに気づいた。ここまで来て、いまさら。足はどんどん進む。やめようかなって思ったけど、足は止まらない。ドアの前に立つ。金属っぽいプレートにお店の名前が彫られている。オレンジの光を反射して鈍く光っている。ノブに手をかけ、そっと引いてみる。
b0015553_1920405.jpg




とりあえずといった感じで地図を持ってきたけど、やっぱり役に立たない。そう思ったらすぐにバッグに放り込もうとしたけど、思いとどまった。意外と何か役立つかもしれないし、第一、何も持たずにうろうろしてきょろきょろしていたら怪しまれるだろうし。カモフラージュ。いや、別に悪いことしているわけじゃないから。にしても、看板があったりガラス張りになっていれば分かりやすいのにな。下手に隠れ家的だったらどうしよう。隠れなくていいから。

親戚がこのあたりでお店をやっている、らしい。叔母さんからそう聞いて、ちょっと行ってみようと思ったのはいいけど、肝心の場所が分からないってのはどういうこと。宝探しのつもりでがんばってみてよって軽く言われたけど、よくよく考えてみたら何をしているんだ、私は。来てしまったものは仕方ないけど。副都心線のきれいなホームに感動しながら地上に出るまではわくわくしていたけど、いざ探そうとしたらやっぱり無理かなぁなんてへこんでいる。「新宿御苑のあたり」というぼんやりした情報とお店の名前だけで探すなんて、やっぱり無謀?

ネットで検索してみたけど引っかからなかった。これってまさしく隠れ家なのかしらと思ったけど、世の中のすべてのものがヒットするわけないよね。まさかと思ってその場所の写真を360度見られるってやつを試してみたけど、そもそも場所が特定されていないし、見られるのは一部の道だけなので、これもだめ。期待はしていなかったけど、自分の足で探すしかないみたい。これって探偵っぽい? それとも刑事ドラマの聞き込みみたいかな。

昼は喫茶店で(カフェじゃなくてね)、夜はワインか何かを出すバーだって。有名ならネットで見つかるだろうし、サイトを持っていなくても誰かしらが何かを書いているはずだ。とすれば、あまりにもマイナーな感じなのかな。場末ってやつ? 場末がどんなものなのかいまいちわからないけどね。それとも、近所の人たちがお客のスナックとかそんな感じなのかなぁ。語尾がイタリア語っぽい感じの名前は、どちらかというとおしゃれカフェをイメージさせる。スナックだったらほら、女の人の名前とかでしょ。偏見?

風が涼しい。夏真っ盛りにこんなことをやっていたら間違いなく倒れるね。急に訪れた秋っぽい涼しさに誘われて新宿まで来たけれど、相当歩き回って結構暑い。途中から、歩いたところを地図にマークしてみたけど、どんどん赤くなっていく。見落としていないことを祈ります。赤いラインを引っ張った道は、調査済みとしてみなし、二度と歩かない。いつもならおもしろそうな雑貨屋さんとか服屋さんがあったらちょっと入ってみたりするんだけど、今日はそれを抑えて…なんてことはなく、やっぱり入っちゃう。そこで思った以上に時間を使って慌てて出るのが3回ほど。店員さんに聞いてみてもいいんだけど、自力で見つけるんだって何故か思い始めて、ひたすら歩いている。ゲームみたいなものだから、どっちだっていいんだけど。いつになったら見つかるんだろうなぁ。太陽がどんどん西に傾いていく。
[PR]
by 4n8f | 2008-08-17 19:21

4N8が書いていま、す
そのほか